イランに行くので映画『ペルセポリス』を見た。

「まったく、離婚ぐらいでそんなに泣くんじゃないよ」

「最初の結婚は予行演習だよ
 次の結婚はもっと満足できる」

主人公のおばあちゃんのセリフが終始かっこいい映画だ。

イランという保守的なイスラームの国(おばあちゃんにとってはイスラーム革命前の人生の方が長いのだけれど)にあって、進歩的な人格者であるおばあちゃんの存在がどれだけ主人公を励ましたことか。

革命・戦争を経験したマルジの自伝的作品なのだけれども、「もうおばあちゃんが好きで仕方ない」という思いで溢れている。

そして、私に限らず、この映画を見た人はマルジのおばあちゃんのファンになってしまうだろう。それくらい魅力的なキャラクターだった。一見の価値ありですよ!

他にも、イランの近代生活史を学ぶにうってつけだとか、フランスのアニメ映画ならではのおっされーな映像美で虐殺場面もあくまでやわらかソフト仕上げ!とか、等身大の愛と青春とマリファナの記憶だったりとか、ロックでパンクな音楽にヘドバンしちゃったりとか、異国にあって故郷を思う異邦人のアイデンティティだとか、素晴らしいところがいっぱいな映画でした感動した。


しかし見たあとに残るモヤモヤとした感じ。主人公の気持ちがいまいちつかめない。

映画的・演出的な盛り上がりに欠ける。もっと食べれるのに食べ足りないこの感じ…じゃがりこが食べたいこの感じ。

じゃがりこをもっと食べたいモヤモヤ感を解決してくれたのは、この動画だった。

「背景でいくら革命や戦争があっても普通の人生」

「マルジの物語は終わっていない」

なるほど。普通の人生を映画にしたらこうなるわ。

普通の人生にこそ、煩悶や美しさやあるのだわ腑に落ちたわ。

私の人生も普通だけどじゃがりこという感動があるわ。