水タバコとアゼリー美人は甘い匂いがした。

未婚の男女のデートやクラブ、アルコールが禁じられているイラン。夜の過ごし方に困る。
ラッキーなことに、人に連れられて素晴らしい喫茶店に行けたので報告したい。
ダブリーズで手持ちぶさたな夜になったら、ぜひここに行くべきだ。



ダブリーズで、友達になったイタリア人がロンプラに載ってる喫茶店に連れて行ってくれた。

茶店といっても、楽しむのはお茶というより煙草。それもシシャと呼ばれる水タバコだ。

そう。不思議の国のアリスのイモムシが吸ってるヤツだ。

ボーイがメニューを運んできた。フレーバーが選べるという。
メロンやイチゴ、カプチーノなど様々あるが、私はリンゴを選んだ。苦いのは嫌だ。
すぐに120cm丈の水タバコが運ばれてきた。大仰な装置である。
普段タバコを吸うわけでもないのに、のこのこついてきてしまったことを後悔した。
ここでむせたらカッコ悪いなぁ、と思いながら煙を吸い込んだ。
肺に呑み込もうとして、苦しくなって鼻から出した。
鼻腔にリンゴと煙の苦い匂いが広がる。


チベット仏教徒のイタリア人はご機嫌。

この喫茶店は、昔ハマム(イスラム公衆浴場。いわゆるサウナ的なもの。風俗じゃないよ!)だった建物を改装したものだという。
床も壁も大理石で出来ている。バックパッカーが来ていいのか戸惑う立派さだ。
お尻がポカポカ暖かいのは、今も床下を温水が通っているから。
アララト山が近いダブリーズでは、3月なのに雪がちらつく。
暖かさとシシャの匂いに心も体も緩まってきた。


中央の池には金魚?が泳ぐ。

''Don't you have sisha together?''
イラン人の一行からお声がかかってご一緒することになった。
若い男女5人グループだ。ダブルデート+αといったところだろうか。
この国では異性間交遊はタブーのはずだが、この空間では緩くなっているようだった。
女性のスカーフの巻き方も緩い。前髪見えてる。
写真を撮って、世間話をする。みんな大学生らしい。英語がしゃべれる。
アゼルバイジャン人の美しい彼女は、歓談中ずっと私の手を握って微笑んでいた。
甘い香りのする女性だった。シシャの匂いだったんだろうか。


微笑みのアゼリー美人。

外に出ると寒さに身が縮んだ。
帰り際にもらったアディダスのロゴの入ったリング(多分偽物)はだ冷たくない。
甘い香りがまだ鼻に残っていた。


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いい感じの喫茶店
Shahriyar