岩絵具騒動

質の良い財布を探していたら、こんなものを見つけた。
皮革伝統工芸 文庫屋大関

姫路の伝統工芸で文庫革という。いまは浅草の仲見世裏に一軒のお店が残るのみらしい。
白革に型押しし、絵の具で色をつけ、錆をかけたあとで漆を塗って仕上げる。
絵の具の中には岩絵の具もあり、これがパールのような上品な照りで美しい。


お店に行くとリビドーが止まらなくなる。鼻息も荒くなる。
キラキラ超きれい!
なんて石から採った色なのだろう。きっと綺麗な石に違いない。
天然でこんな色が出るなんてなんてことだ。
ありがとう地球!ありがとう人知の及ばぬ大地の歴史!
サマンサ○バサやP&Dの財布のパールなんてまやかしだ。
Must die!大正義岩絵具!

さながら原理主義者の情熱で、手に持つ財布を見つめてしまう。
好きなものが増えるたびに、深く知るたびに、偏屈になってゆくがどうしたらいいのか。
歴史好きのせいか、物の由緒へのこだわりが止まらない。


新宿、世界堂本店の岩絵具コーナーに行った。
一色一色、をコレクションして毎日眺められたらどれだけいいだろう。
絶対それを使ってなにかかける気はしないが。

日本画を専攻していた友人に、読み返すと恥ずかしいメールを送りつけた。
日本画にはもちろん、刺青にも使われていたらしい。
あんな綺麗な色を体に取り込めるなんてすごい。

根津美術館に「新春の国宝 那智瀧図」を見に行った。
白の柔らかさと重ね塗りの立体感に心がほころぶ。


ちょっと変態的な感じになってきた。
財布は大関さんで内定しているが、私の欲しい型に彩色オーダーをするには一年かかるらしい。
あと一年、岩絵具騒動は続くだろうか。

あ、この記事はステマじゃないよ!お金もらってないよ!